第114回「俺の目を見ろ」無言の戦闘宣言

●たったひとりの選手の目力がチームの奮起を促す
 ラグビー日本代表経験のある元有力選手に引退後、取材したことがある。現役時代は派手さこそないものの、相手にとってしつこい嫌なタイプの第三列として鳴らした。
 タフな試合、後半の後半に入って負けている。疲れが激しい。もうあかん、逆転は無理や。味方を見渡すと、体はへばりながらも、目に力が残っている選手がいる。
 「やつの目を見ていると、こちらも行ける、やらなあかんと気合いがよみがえってくる」
 俺はまだ戦う。アイコンタクトというより、アイメッセージとでもいうべきか。たったひとりの目力がチーム全体を奮い起こすこともできる。ラグビーの、人間の不思議。