2016-01-01から1年間の記事一覧

第95回「しごと談義」(40)三谷幸喜は平成の山本周五郎

●「義の戦い」で国も民も疲れ果て NHK大河「真田丸」。先週分で、上杉景勝の情けない姿が浮き彫りになった。景勝が謙信の時代から続く「義の戦い」に明け暮れている間に、国も民も疲れ果ててしまう。景勝は漁民の小さないさかいの仲裁もできない状態に陥…

第94回「しごと談義」(39)ミルク代稼ぐため塁に出なあかんねん!

●生活がかかっている職業野球 BS日テレ「久米書店」より、「意識力」の著者で元プロ野球選手の宮本慎也をゲストに迎え、久米宏、壇蜜とのやりとりを要約して――。 久米「僕はプロ野球というより、戦前の職業野球という言い方の方が好きなんです。テレビの画面…

第93回「しごと談義」(38)ことばにこだわりを持たない日本人

●言霊思想は江戸期国学者のいじましい創作 「江戸時代の国学者たちは躍起になって言霊思想をつくりあげ国粋主義を鼓吹したが、日本人はもともとことばに深い信頼感や神聖感をもっていないのである。これは日本民族が、世界でも稀な文化的、言語的、生活的な…

第92回「しごと談義」(37)「うまくいえないけど、うまくいえないっすよ」

●必死に考えた末の誠実な中間報告 もっとも心に残るテレビドラマのひとつが「前略おふくろ様」。東京の下町に生きる愛すべき人間たちのこまごまとした喜怒哀楽を、さもありなんという心のひだに染み入るようなタッチで描き続けた。 萩原健一演じる主人公のさ…

第91回「しごと談義」(36)農民・野武士・傭兵・自由人

●戦国の世を闊歩した一人四役の曲者たち 『戦国の世には領主よりの年貢の取り立てに応ずる従順な農民たるをいさぎよしとせず、武器を手にしたいわゆる野武士たちが横行した。彼らは時には一種の傭兵として、その時その時の形勢に応じて、戦争を請け負ってき…

第90回「しごと談義」(35)創業1200年のパン屋さん

●「新しくなくて悪かったな力」 雑用をしながら見たBSの旅番組。タレントが鉄道で世界各地を散策する。確かオーストリアで、モーツァルトゆかりの地方都市。パン屋さんの創業は1200年前。今も自前の水車で製粉し、300年前の窯をパンを焼いているという。 近…

第89回「しごと談義」(34)「立て板に水」VS「言い淀む」

●相手の沈黙に耐えられる記者いますか? 現象学や臨床心理の観点からすると、我々のしゃべっていることのほとんどは、自分のオリジナルではないらしい。どこかでだれかから仕入れたネタばかりで構成されている。 自信たっぷりの「立て板に水」ほど、当人の考…

第88回「しごと談義」(33)哀愁の王道をともに歩く

●哀愁系ワーカーたちのレーゾンデートル ホテルマン、商社マン、銀行マン、カメラマンなど、マンの付く表現をメディアは使わなくなった。女性労働者への配慮が働く。 サラリーマンの表現も最近はめったに見かけない。サラリーマンはビジネスパーソンに置き換…

第87回「しごと談義」(32)深夜スーパーで何?

●監督いわく「あしたは玉砕戦だ」 「真田丸」女優陣の現代風せりふ回しが「らしくない」と、一部でひんしゅくを買っているらしい。逆に、ライター仕事で原稿を書きながら、「あっ、こんな表現、使わんようになったなあ」と、感じることがある。記事作成上の…

第86回「しごと談義」(31)家康を好きになってしまいそう

●「真田丸」を攪乱する「臨場」のライバル 「真田丸」、滑り出しは悪くない。ただひとつ、困ったことがある。家康を好きになってしまいそうだ。 私は分かりやすい昭和の判官びいき男。家康は歴史上、もっとも毛嫌いする人物のひとりだったが、三谷「真田丸」…

第85回「しごと談議」(30)ぶれまくる昌幸

●七転八倒しながら「分からん」 NHK大河ドラマ「真田丸」。幸村の父昌幸がいい。真田家は四方を大大名に囲まれたしがない国衆のひとり。やむなく属した武田家が滅びた後、今度はどの勢力につくか。 迷った挙句、昌幸は息子にくじを引かせて決めようにする。…