サラメシと職場結婚の相関性

本日は「中小企業という名の小宇宙」はおやすみ。代わって、けさ拾った話題を速報します。
 朝の情報テレビ番組で料理レシピサイト「クックパッド」が紹介されました。私が関心を抱いたのは、同社の社員専用キッチン。つねに複数の一般社員グループが料理に向き合えるよう、広めのキッチンに流し台やコンロが多数設置されています。社員たちは冷蔵庫から食材を自由に取り出し、好みの料理を作ることができます。
 ランチのほか、朝型社員向けに朝食もoK。仕入れてほしい食材をホワイトボードに書いておけば、会社側が調達もしてくれるという。この専用キッチンにより、社員はバランスの良い食生活を送ることができる、ほかの部署の人間を含めて料理を通じて交流を深めることができるなどのメリットが報告されていました。
 NHKの番組「サラメシ」が話題を呼ぶなど、ビジネスパーソンの食事に関心が集まっています。これまではどんなパターンがあったでしょうか。
 (1)自宅から弁当をもってくる(いわゆる愛妻弁当、最近は男子弁当)
 (2)コンビニなどで弁当やパンを調達して職場で食べる
 (3)社員食堂で適当に済ませる
 (4)気分転換を兼ねて外食に出掛ける
 (5)店屋物ものの出前をとって、さっさとかきこむ
 (6)飲食店で働く料理人たちが自分たちで「まかない飯」を作る
 こんなところでしょうか。今回の専用キッチン方式は6番目のまかない飯方式を拡大したかたちかもしれませんが、これからは食品関連会社を皮切りにして、いろいろな職場に広がっていくのではないでしょうか。
 番組では若手社員が男女仲良く料理をつくり、わきあいあいと食卓を囲んでいました。
 還暦世代の私には時代の流れを感じさせます。私たちの世代は異性と食事をすることが苦手でした。極度の緊張感を強いられます。「特別」の行為、あるいは「次の特別」につながりかねない行為だからです。緊張の原因は分かっています。俗にいう「下心」です。自身のやましさが原因ですが、だから男女の公然わきあいあい食事のひとときというのは、よほど感性を抹殺してかからないと実現しにくい行為であり、建前的な情景でした。これでは真の交流は生まれない。そこで、職場民俗学的には、「一泊2日の社員旅行」や「無礼講の飲み会」というもうひとつの男女シャップル・システムが必要だったわけです。
 しかし、時代は流れ、食事は特別の行為ではなくなりつつるあるのかもしれませんね。昭和の世代ではたった一回の食事が契機となって、職場結婚へという展開も、星の数ほどありました。
 ありていにいえば、みんな結婚相手を探すために職場に通っていた。社内や取引先の候補者リサーチに、さりげなくも必死でした。いまは何を手掛かりに職場結婚が可能なのか。そんな裏メニューを想定しながら、テレビのリポートを見ていました。そもそも職場結婚は増えているのか、減っているのか。これからも折を見てあれこれ考えていきたいと思います。