中小企業という名の小宇宙(4)「頑固一徹」で「変身上手」

 昨日までとは一転して、冬へ舞い戻り。風の冷たさも手伝い、外には一歩もさきほど出ずに、PR紙の記事構成案づくり。さきほど送り終わってひと段落。ということで、中小企業という名の小宇宙シリーズの第4弾に取り掛かります。
 私は長い間、「頑固一徹」「この道一筋」のおやじが好きでした。効率万能の時代、ひとつの事柄に心血を注ぐ姿勢に「ロマン」を感じたものでした。半面、「最近始めたばっかり」「お客さんに勧められてね」などとつぶやかれると、取材の意欲もなえがちでした。しかし、私自身が十分なおやじになりかけたころから、このロマン幻想は少々違うのではないかと思い始めました。
 私が出会ったおやじたちは「頑固一徹」ではあっても、「この道一筋」は少ない。むしろ、「この道もあの道も」が圧倒的に多い。つまり「この道もあの道も」だからこそ、生き延びることができたのではないか。
 日本の本当のおやじたちは「頑固一徹」で「変身上手」です。得意分野に徹底的に打ち込む。不振でも最後の最後まであきらめない。しかし、それでもだめから、潔く撤収。ゼロからやり直す。
 頑固&変身。この繰り返し。ぶれぶれになることで時代の空気にさらされる。七転八倒をするうちに社会の新しい役割を与えられて、次のステージに進むことができるのではないでしょうか。手持ちの技術ノウハウを異分野で生かす転用力が、変身成功の秘訣でしょう。
 すぐれた老舗や元気のいい商店街は動的均衡の世界。一見変わらないように見えて、少しずつ血を入れ替えて変身を重ねています。
 伝統とは革新の連続。ぶれるのは恥ずかしくありません。いや、少し恥ずかしいかもしれませんが、ぶれるのも立派な人生です。