第74回「ご神仏の仕事学」(17)大念佛寺の万部おねり


●黄金仮面の菩薩たちが次々と登場
 大阪市平野区融通念佛宗の総本山、大念佛寺で、五月一日、阿弥陀如来来迎の情景をあでやかに再現する法要「万部(まんぶ)おねり」が始まり、多くの信徒からが詰めかけ、熱心に魅入っていました。
 この法要は、阿弥陀信仰に基づき、民衆が生を終えようとするとき、阿弥陀如来が極楽浄土から二十五の菩薩たちを従えて、迎えに来てくださるという来迎の場面を再現したものです。
 境内に回廊状の特設舞台が設けられ、菩薩たちが次々と登場。皆さん黄金の仮面を被り、きらびやかな衣装に身を包み、手には笛や琵琶などの楽器を持ってはります。菩薩役を演じているのは融通念佛宗の僧侶たちです。
 受け持つパートはそれぞれ異なり、全体で優雅なハーモニーを醸し出す。その豪華さはジャズバンドにたとえると、ザ・菩薩オールスターズといった趣でしょうか。黄金の仮面が五月晴れの日差しを浴びて、キラリまたキラリと、まばゆい光を放ちます。
 以前から拝見したかったのですが、ようやく実現しました。五日まで毎日営まれますので、ご関心のある方は大阪・平野まで足を伸ばしてみてください。中世から近世にかけて、周囲に濠(ほり)をめぐらせ、自治都市の機運をみなぎらせていた平野郷の面影も、同時に堪能できるかと思います。
 いずれにせよ、これほどド派手でかっこいい菩薩さんたちが大挙して迎えに来てくださるのなら、何も心配する必要はおまへん。あしたから安心して精いっぱい生きていくことにしましょう。
 カメラマンが新参もんゆえ、菩薩のお名前まで確認できないことをおわびしながら、オールスターズの一部メンバーの勇姿をご紹介しておきます。