第87回「しごと談義」(32)深夜スーパーで何?

●監督いわく「あしたは玉砕戦だ」
 「真田丸」女優陣の現代風せりふ回しが「らしくない」と、一部でひんしゅくを買っているらしい。逆に、ライター仕事で原稿を書きながら、「あっ、こんな表現、使わんようになったなあ」と、感じることがある。記事作成上の死語だ。思い付くままに列記してみよう。
 「この伝でいけば」「たかが○○○、されど×××」「さながら気分は☆☆☆」。
「青い目の(留学生)」「紅一点ならぬ黒一点」「夜行列車に揺られて」。
「深夜スーパー」。筆者の記者駆け出し時代、コンビニは「深夜スーパー」と表現していた。
 スポーツ記事や経済リポートで、「ニイタカヤマノボレ、である」「進軍ラッパが鳴った」「監督いわく『あしたは玉砕戦だ』」などと、やたら勇ましい状況描写は、筆者の先輩たちの筆によるもので、さすがに戦後生まれの筆者は使ったことはない。
 ――と、ここまで書いて、またひとつ気づいた。すでに日常生活から筆が消えて久しい。そのうち「筆者の先輩たちの筆によるもの」が、なんのこっちゃ分からへんという時代になるかもしれない。