第88回「しごと談義」(33)哀愁の王道をともに歩く

●哀愁系ワーカーたちのレーゾンデートル
 ホテルマン、商社マン、銀行マン、カメラマンなど、マンの付く表現をメディアは使わなくなった。女性労働者への配慮が働く。
 サラリーマンの表現も最近はめったに見かけない。サラリーマンはビジネスパーソンに置き換える。「サラリーマンはつらいね」という哀愁が、「ビジネスパーソンはつらいね」では伝わりにくい。困ったものだ。
 女性オンリーのOLも控えた方がいいのだうか。OLはオフィスレディの略。その前はBG、ビジネスガールだった。言葉の濃度とは裏腹に、昭和30年代の推理小説あたりにBGがしばしば登場し、身勝手な男に捨てられたり裏切られた挙句、殺されたり辛い目に遭う。BGも哀愁がよく似合う。
 非正規社員契約社員、嘱託社員、派遣店員、パート職員、そして筆者を含めたフリーライター。平成の憂き世に哀愁出船の霧笛が響く。哀愁系ワーカーたちよ、現状打開の道はいまだ見えなくとも、しばらくは哀愁の王道をともに歩こう。