第101回合格電報屋という学生アルバイト

●受験生に代わって合格発表を見て打電
 学生時代の思い出を少し。記憶があいまいなところがあり、まちがっていたらごめんなさいということで。
 昭和40年代、筆者が通っていた首都圏の大学では入試時期、合格電報でひと稼ぎする学生たちがいた。試験当日、地方出身の受験生に対し、本人の代わりに張り出された合格発表を確認して、結果を電報で知らせてやると勧誘するものだ。サークル単位で校門前で待ち構え、「当クラブに頼むと、全員合格する」などと、過大広告気味の殺し文句で売り込んでいたような気がする。
 当然ながら大学当局は「うちとは関係ないから利用するな」と警告を発していた。当時は鉄道の便が悪いうえに、特急は高根の花。学生は特急に乗ろうともしない。筆者は北陸から夜行の急行列車で朝早く上野に着いた。
 上京するだけで一大プロジェクトだった。わざわざ合格発表を見るためだけには、なかなか再上京できない。だからこその合格電報屋。いつごろまで続いたものか。