第108回「人の世はオペレーションで決まる」

●「俺は今 どこの党だと 秘書に聞き」
 人が組織を形成する様子、人や組織が判断する様子に関する言葉を思いつくままに羅列してみよう。
 連盟・連帯、連合(軍)、同盟(軍)、連判状、合意文書、組合、五人組、チーム、ユニット、コミュニティ、ネットワーク、村八分
 棚ざらし、塩漬け、お蔵入り、水入り、仕切り直し、ペンディング、継続審議、全会一致、弾力的運営、総論賛成・各論反対、両論併記、玉虫色、灰色決着、問題Aは「そばに置き」、小異を捨て大同に付く、「政治生命をかけて」、理念なき野合。「俺は今、どこの党だと秘書に聞き」。
 軍縮・軍拡、宣戦布告、休戦・停戦交渉、和戦両様、密約、密議、密書、念書、覚え書き、秘密交渉、極秘情報、オフレコ、リーク、タレコミ、自主規制、機密漏洩。
 丸投げ・丸呑み、根回し、水面下の調整、正面突破、背水の陣、陽動作戦、多元外交、八方美人、弱腰外交、鎖国・開国、非関税障壁、(強い敵と)差し違える、玉砕・特攻・片道切符。謀反、裏切り、反旗を翻す、寝返りを促す。統一会派、政党渡り鳥、オリーブの木
 独裁・独断、民主制、トップダウンボトムアップ武断政治、傀儡政権、事実上の院政、烏合の衆、決められない政治。1強多弱、派閥・村政治、数の政治、多数派工作、分断工作、少数意見に耳を傾ける、御伽衆、陰陽師、参謀、二重スパイ、国対族、熟考・熟慮・熟議、予定調和、不毛の会議。
 落としどころを探す、「間を取ってこのあたりで」、ギブアンドテイク、妥協の産物、名を捨て実を取る、まんまと術中にはまる。持ち帰って検討する、「地方の声は違う!」。
 御前会議、長老会議、頼もしいおじき(東映仁侠映画での渋い池部良の役回り)、第三者委員会、諮問委員会、連絡調整会議、OBOG会、同窓会、首脳会議・次官級会議、総会・役員会、親睦会、編集会議、ブレスト、プレゼン、オーディション。謝罪会見。会議ばっかり、会議は踊る。「会議で決まったんだから、しょうがないだろ」「そんなあ」「いいから来い、飲みに行くぞ」「おいーす!」
 今も昔もサイズの大小を問わず、組織運営はたいへんだ。てんでばらばらの人間が集まる社会を切り盛りするには、ありとあらゆる知恵をしぼり、なんとかうまく転がしていかねばならない。
 上記の言葉をかみしめれば、すべてが、ある意味、正解で不正解。間違っているようで間違っていないかもしれない。要はやり方次第。理論ではなく実際。中身、組み合わせ、ブリコラージュだ。「人の世はオペレーションで決まる」。平凡かもしれないが、筆者の現時点での仮の結論である。当コラム108回を迎えたが、煩悩は尽きそうにない。